熱可塑性樹脂は温度が高くなると溶融し、冷やすと固化する特性を持っています。固化したものを温度が高くすると再び溶融するのでリサイクルが可能です。安価で生産できるので熱硬化性樹脂と比べて大量生産に向いています。
目 次
熱可塑性樹脂の中で、熱変形温度が100℃未満で価格が比較的低い樹脂を『汎用プラスチック』と言い、100℃を超える樹脂を『エンジニアリングプラスチック』と言います。ここでは『エンジニアリングプラスチック』のポリアセタール（POM）、ポリカーボネート（PC）、ポリエチレンテレフタレート（PET）、ポリアミド樹脂（ナイロン）（PA）を紹介します。エンジニアリングプラスチックの中で耐熱温度が150℃を超える樹脂をスーパーエンジニアリングプラスチックと言います。ここでは、フライパン内側のコーティングに使われている四フッ化エチレン樹脂（フッ素樹脂）（PTFE）>を紹介します。
ポリアセタール（POM） ※ジュラコン／デルリン
〔特徴〕
白色（不透明）で、耐衝撃性、耐摩耗性、耐疲労性、耐薬品性に優れる。ジュラコンはポリプラスチック社の商品名で、デルリンがデュポン社の商品名で、どちらもPOMです。
〔用途〕
自動車内装部品、家電製品、軸受部品、ファスナー
〔耐熱温度〕
80～120℃
切削（MC）
切削
ポリカーボネート（PC)
〔特徴〕
無色透明です。有色のＰＣは着色ペレットで色を付けたものです。耐熱性、耐衝撃性に優れる。酸に強いがアルカリに弱い。
〔用途〕
CD、DVD、自動車のヘッドライト、透明屋根材、家電製品
〔耐熱温度〕
120～130℃
切削(NCﾙｰﾀ)、接着
切削(彫刻機)、ｼﾙｸｽｸﾘｰﾝ印刷
切削(NCﾙｰﾀ)、ｼﾙｸｽｸﾘｰﾝ印刷
ＭＣナイロン
〔特徴〕
MCナイロンは、6ナイロンを改良した樹脂です。 本質的な構造は、6ナイロンと同じです。ひずみが少なく高性能な樹脂です。耐衝撃性や耐摩耗性が高い。有機溶剤に強い。熱に強い。
〔用途〕
自動車内装部品、家電製品
〔耐熱温度〕
120℃ グレードによっては150℃のものもあります。
切削（旋盤）
切削（旋盤）
切削（MC）
切削（MC）
四フッ化エチレン樹脂（フッ素樹脂）（PTFE）
〔特徴〕
PTFE樹脂は、フッ素と炭素のみからなるフッ素樹脂（フッ化炭素樹脂）で、ほとんどの化学薬品・溶剤に対して不活性です。 一般的にテフロンと呼ばれています。耐熱温度は260℃なのでスーパーエンジニアリングプラスチックです。乳白色で耐熱性、耐薬品性、耐水性が優れており、非粘着性を有する。フライパンのコーティング（フッ素コーティング）、半導体関係でも使われている。
〔用途〕
フライパン内面コーティング、アイロン、パッキン、医療機器（人工血管）、ガスケット、半導体分野
〔耐熱温度〕
260℃
切削（旋盤）
ポリエチレンテレフタレート（PET）
〔特徴〕
無色透明です。有色のPETは着色ペレット等で色を付けたものです。圧力に強く、安価で加工しやすい。水より軽く、燃えやすい。耐酸性には強いが、耐アルカリに性はついては、強アルカリに弱い。強靭で酸素や水蒸気等の気体の透過しにくさ（ガスバリア性）に優れる。飲料容器は”ペットボトル”として定着している。
〔用途〕
飲料・醤油・酒等の容器、カーペット、磁気テープ、光学用機能性フィルム
〔耐熱温度〕
延伸フィルム：200℃、無延伸シート：60℃、ペットボトル：85℃
ポリアミド樹脂（ナイロン）（PA）
〔特徴〕
乳白色で、耐摩耗性、耐衝撃性、耐寒冷性に優れている。
〔用途〕
吸気管、冷却ファン等の自動車部品、軸受部品、ギヤ、カム、ファスナー、ボルト
〔耐熱温度〕
80～140℃
